クリプトコリネ アフィニスはマレー半島に山間部から流れるの清流に自生するクリプトコリネである。葉の色彩はグリーンタイプとブラウンタイプがあり面白い。仏縁苞の先端は螺旋状に伸び上がるのが特徴だ。
Cryptocoryne affinis クリプトコリネ アフィニスクリプトコリネ アフィニスは、1893 年にイギリスの植物学者 N.E.Brown(ブラウン)が記載した種です。発表の舞台は Hooker(フッカー)が編集した『英領インド植物誌』第 6 巻で、当店のページで学名の後ろに添えている「Hooker f」という表記も、この本を指しています。指している植物も出典も同じで、現在の正式な書き方は「Cryptocoryne affinis N.E.Br.」となります。
この種には、水草の世界でよく知られた取り違えの歴史があります。1939 年にドイツ・ドレスデンの Haertel(ヘルテル)氏が水槽用に持ち込んだ株が広まり、1949 年に「Cryptocoryne haerteliana(ヘルテリアナ)」という別の種として記載されました。1950 年代の水草界ではこの名前のほうが有名だったほどです。ところが、さく葉標本(=押し葉にした標本)で見る姿と、水中で育った葉の姿があまりに違っていたための誤認で、実体は 1893 年のアフィニスと同じものでした。学名は先に発表されたほうが優先される決まり(先取権)ですので、1977 年にまず亜種(あしゅ=種の下の区分)へ格下げされ、その後は亜種の区分も維持されなくなり、現在は完全にアフィニスの異名になっています。
分布はマレー半島が中心で、タイ南部にも記録があります。当店のページにあるとおり、葉にはグリーンタイプとブラウンタイプがあり、仏炎苞(ぶつえんほう=花を包む苞)の先端が螺旋状にねじれ上がるのが目印です。ケランタン州スンガイカロン産のように産地ごとに姿が違いますが、これらは別種ではなく 1 種のなかの幅と考えられています。名前が 1 つに落ち着いた今も、産地ごとに株を分けて記録しておく意味は変わりません。
いまの正式な学名: Cryptocoryne affinis N.E.Br. (1893) — キュー王立植物園の WCVP で ACCEPTED(正式名)。かつて広まった「ヘルテリアナ」は異名(いめい=同じ植物につけられた別名)
| 年 | できごと | 文献 |
|---|---|---|
| 1893 | N.E.Brown が Cryptocoryne affinis を記載(Hooker の『英領インド植物誌』第 6 巻の中で発表) | J.D.Hooker, Fl. Brit. India 6: 494 |
| 1939 | ドレスデンの Haertel 氏が水草として初めて持ち込んだと記録される | The Crypts pages(C. affinis) |
| 1949 | Jacobsen の名を Milkuhn が有効に公表し、Cryptocoryne haerteliana が独立種として成立 | Wochenschr. Aquar.- Terrarienkunde 43: 288 |
| 1950 年代 | 水草界では「ヘルテリアナ」の名前で広く普及(実体はアフィニス) | The Crypts pages(C. affinis) |
| 1977 | Schöpfel が haerteliana を C. affinis の亜種 subsp. haerteliana へ格下げ | Inform. Z.A.G. Wasserpflanzen 1977(4): 5 |
| 1977 以降 | 亜種の区分も維持されなくなり C. affinis 一本に統合(統合を明示した論文・公表年は特定できず) | 不明 |
| 2026 現在 | WCVP / POWO で Cryptocoryne affinis N.E.Br. が ACCEPTED。異名は C. haerteliana Jacobsen ex Milkuhn と C. affinis subsp. haerteliana の 2 つ。分布はマレー半島とタイ | WCVP (Kew)/2026-08-04 参照 |
2026 年現在、Cryptocoryne affinis N.E.Br. は独立した正式な種として認められています。1950 年代に一世を風靡した「ヘルテリアナ」は、現在は学名としては使われず、アフィニスの異名です。当店ページの「Hooker f」表記は 1893 年の発表媒体を指すもので、現在の正式表記は N.E.Br. になります。
※ 出典: IPNI(国際植物名索引)/ WCVP・POWO(キュー王立植物園、2026-08-04 参照)/ The Crypts pages(J.D. バスメイヤー氏 運営)/ J.D.Hooker, Fl. Brit. India 6 (1893)。