RVA レヨンベールアクア水草図鑑

クリプトコリネ アルビタ Cryptocoryne albida

クリプトコリネ アルビダはタイからミャンマーに分布します。細葉のアクアリウム水草として古くから知られており有名ファームでの生産が多く流通に乗っている。

Cryptocoryne albida Cryptocoryne albida クリプトコリネ アルビダ

商業ルート ファーム生産 Farm

クリプトコリネ アルビダは、1931 年にイギリスの植物学者 R.Parker(パーカー)が、ビルマ(現ミャンマー)の標本をもとにキュー王立植物園の紀要で記載した水草です。その 10 年後の 1941 年、フランスの Gagnepain(ガニュパン)がタイ産の株を別種「Cryptocoryne costata(コスタータ)」として記載しました。当店のページにアルビダとコスタータの両方が並んでいるのは、この 2 つが長く別の名前で流通してきた歴史そのものです。

その後も、1968 年に hansenii(ハンセニー)、1975 年に korthausiae(コルトハウジアエ)と別名が増えましたが、いずれも実体は同じ植物で、順にアルビダに統合されていきました。学名は先に発表されたほうが優先される決まり(先取権)ですので、1931 年のアルビダが名前として残った形です。この時点でコスタータはアルビダの異名(いめい=同じ植物につけられた別名)になりました。

そして 2022 年、Jacobsen(ヤコブセン)ら 3 名が、細葉のクリプトコリネをまとめる「クリスパチュラ複合体」の見直しのなかで、アルビダをクリスパチュラの変種(へんしゅ=種の下に置く区分)と位置づけました。これが現在の正式名 Cryptocoryne crispatula var. albida です。名前の階級が下がっただけで、植物そのものが別物になったわけではありません。当店のページにあるとおり、細葉で丈夫、ファーム(栽培農場)生産で古くから流通してきた水草という位置づけは何も変わりません。

📜 分類の歩み — この名前はいつ、どう変わったか

いまの正式な学名: Cryptocoryne crispatula var. albida (R.Parker) N.Jacobsen, Maneean. & T.Idei (2022) — 旧名 C. albida R.Parker (1931)。アクアリウムでは「アルビダ」「コスタータ」の名で親しまれています

できごと文献
1931R.Parker がビルマ(ミャンマー)産の標本から Cryptocoryne albida を独立種として記載Bull. Misc. Inform. Kew 1931: 44
1941Gagnepain がタイ産の株を Cryptocoryne costata として別種記載Notul. Syst. (Paris) 9: 131
1968S.Y.Hu が Cryptocoryne hansenii を記載(のちに albida の異名へ)Dansk Bot. Ark. 23: 456
1975Rataj が C. retrospiralis subsp. albida と C. korthausiae を発表(いずれものちに albida の異名へ)Stud. Českoslov. Akad. Věd 3: 46, 55
1975〜2021costata・hansenii・korthausiae が albida に統合される(各統合の公表年・論文は特定できず)不明
1991Jacobsen がクリスパチュラ複合体を変種で整理(balansae / tonkinensis / flaccidifolia など)。この時点では albida は独立種のままAqua Planta 1991(1): 26–29
2022★ Jacobsen・Maneean.・Idei が albida をクリスパチュラの変種へ。新組合せ Cryptocoryne crispatula var. albida が成立Aroideana 45(1): 282
2026 現在WCVP / POWO で C. crispatula var. albida が ACCEPTED。C. albidaC. costataC. hanseniiC. korthausiaeC. retrospiralis subsp. albida の 5 名が異名WCVP (Kew)/2026-08-04 参照

2026 年現在、正式な学名は Cryptocoryne crispatula var. albida です。Cryptocoryne albidaCryptocoryne costata も、いまは異名として扱われます。ただしアルビダは 1931〜2021 年の約 90 年間、まぎれもなく独立した種の名前でした。分布は WCVP ではインド北東部・バングラデシュ・ミャンマー・タイ・ラオス・中国南部までを挙げますが、The Crypts pages はミャンマーとタイを中心とします。アクアリウムでは「アルビダ」「コスタータ」の名で親しまれています。

※ 出典: IPNI(国際植物名索引)/ WCVP・POWO(キュー王立植物園、2026-08-04 参照)/ The Crypts pages(J.D. バスメイヤー氏 運営)/ Aroideana 45(1) (2022)/ Bull. Misc. Inform. Kew 1931。

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