RVA レヨンベールアクア水草図鑑

クリプトコリネ スワイテシー Cryptocoryne thwaitesii

クリプトコリネ スワイテシーはスリランカに分布する

Cryptocoryne thwaitesii クリプトコリネ スワイテシィ

クリプトコリネ スワイテシーは、1857 年にオーストリアの植物学者 Heinrich Wilhelm Schott(ハインリヒ ヴィルヘルム ショット)氏が、セイロン島(現在のスリランカ)の標本にもとづいて記載した水草です。発表誌はドイツの植物学誌 Bonplandia(ボンプランディア)5 巻 221 頁。IPNI に残る原記録の産地欄には「Zeylan(セイロン)」とだけ書かれています。種小名の thwaitesii は、1849 年から 30 年にわたってセイロンのペラデニヤ植物園長を務め、セイロンの植物相を『Enumeratio Plantarum Zeylaniae』にまとめた George Henry Kendrick Thwaites(ジョージ ヘンリー ケンドリック スワイツ、1812〜1882)氏にちなみます。当時のセイロン植物研究の中心にいた人物でした。

姿は、クリプトコリネの中でも指折りの見ごたえです。葉は幅の広い卵形で、ふちは細かく波打ち、表面はざらつきます。長さは 10 cm ほどですが、栽培下ではほとんど黒に見えるほど色が濃くなることがあります。仏炎苞(ぶつえんほう=花を包む筒状の苞)の舷部(げんぶ=開いた面)は色の幅がとても大きく、白いものから濃い赤まで、赤い点の出方もさまざま。属の中でも屈指の美種とされる一方、栽培は上級者向けと言われ続けてきました。

生えている場所は、同じスリランカのアルバ(C. alba)やボグネリ(C. bogneri)と同じく、島の南西部の熱帯雨林です。当店のこのページには、ヤーラ産(緑系タイプと茶系タイプの 2 通り)、キリンディ オヤ産、デバラウェア産、ウェアゴダ産、コタッワ産と、産地ごとの株の画像を 2001 年 12 月から 2003 年 3 月にかけて残しています。同じ 1 つの種の中で色がどれだけ振れるのかが、産地名つきで並べて見ていただけるのは、こうした記録があってこそです。

学名としては、きわめて落ち着いた種です。1857 年の記載から今日まで、一度も別名に置き換えられていません。キュー王立植物園の現行の整理でも、異名はひとつも登録されていません。169 年間ぶれていない、という点だけでも、クリプトコリネの中では珍しい部類に入ります。

📜 分類の歩み — この名前はいつ、どう変わったか

いまの正式な学名: Cryptocoryne thwaitesii Schott (1857) — POWO / WCVP で ACCEPTED (正式に認められた学名)。異名の登録はありません

できごと文献
1849〜1879種小名の由来となる G.H.K. Thwaites (1812–1882) がセイロンのペラデニヤ植物園長を務め、『Enumeratio Plantarum Zeylaniae』を著す英国人名事典 (DNB) / Wikipedia (G.H.K. Thwaites)
1857★ Schott がセイロン島 (現スリランカ) の株から Cryptocoryne thwaitesii を新種記載。原記録の産地表記は「Zeylan」Bonplandia 5: 221 / IPNI
1857〜現在学名が別名に置き換えられたことは一度もなく、異名の登録もないIPNI / WCVP (Kew)
記載後スリランカ南西部の熱帯雨林に、C. albaC. bogneri とともに生えることが知られる。仏炎苞の舷部は白から濃赤まで色幅が大きいThe Crypts pages (J.D. Bastmeijer)
2026 現在POWO / WCVP で C. thwaitesii Schott が ACCEPTED。異名なし。分布はスリランカ南西部WCVP (Kew) 2026-08-04 確認

2026 年現在、Cryptocoryne thwaitesii Schott は POWO / WCVP で正式に認められた学名 (ACCEPTED) です。異名は 1 つも登録されておらず、1857 年の記載から 169 年間まったく揺らいでいません。分布はスリランカ南西部の熱帯雨林です。なお本種がワシントン条約 (CITES=絶滅のおそれのある野生動植物の国際取引を規制する条約) の附属書に掲載されているかどうかは、CITES 公式データベース (cites.org / Species+) が機械での閲覧を受け付けず、今回の調査では確認できませんでした(=不明)。掲載の有無をはっきりさせたい場合は、経済産業省の規制対象種検索など公的な窓口でご確認ください。

※ 出典: IPNI(国際植物名索引)/ WCVP・POWO(キュー王立植物園、2026-08-04 確認)/ The Crypts pages(J.D. バスメイヤー氏 運営、cryptocoryneworld.org の C. thwaitesii の項)/ Bonplandia 5 (1857, Schott)/ G.H.K. Thwaites の経歴は英国人名事典 (Dictionary of National Biography) および Wikipedia。※ CITES 附属書の掲載有無は cites.org が HTTP 403、Species+ API が認証必須のため未確認。

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