クリプトコリネ シバダサニィはインド南西部に分布する。
クリプトコリネ シバダサニィは、インド南西部ケララ州で見つかった水草です。生きた株を最初に採集したのは、カリカット大学の植物学者 M. Sivadasan(シバダサン)氏で、1981 年のこと。ところがそこから正式な名前がつくまで、じつに 23 年かかりました。決め手となる標本がそろったのは 2004 年 2 月 2 日、Sivadasan 氏と Kiran Raj(キラン ラージ)氏がマラップラム県ヴァッラムトドゥ(カリカット大学キャンパスの南)の小川の川床で採集した株(採集番号 CU 21595)です。
この標本をタイプ標本(=学名の基準となる標本。正基準標本はインド・コルカタの CAL、副標本はキュー K・ミュンヘン M・マドラス MH に保管)として、ドイツ・ミュンヘン植物園のサトイモ科研究者 Josef Bogner(ヨーゼフ ボグナー)氏が同じ 2004 年の 8 月 25 日、ベルリンの植物学誌 Willdenowia(ヴィルデノヴィア)34 巻 1 号 195〜201 頁で新種として記載しました。種小名の sivadasanii は、もちろん発見者の Sivadasan 氏にちなみます。クリプトコリネ属としてはきわめて新しい名前で、2004 年の記載以来、一度も別名に置き換えられていません。
暮らし方は、はっきりした季節植物です。雨季が終わって水位が下がり、小川が干上がりはじめるころに花を咲かせます。仏炎苞(ぶつえんほう=花を包む筒状の苞)は舷部(げんぶ=開いた面)がねじれ、内側は黄色地に紫のいぼが散ります。同じインド産のコンソブリナ(Cryptocoryne consobrina)と比べると、舷部表面のざらつきは弱めです。もうひとつ変わっているのが増え方で、ちぎれた根から新しい子株ができるという、クリプトコリネでは珍しい性質を持っています。
当店のページにある「インド南西部に分布する」という記述はそのとおりで、キュー王立植物園の記録でもケララ州とカルナータカ州とされています。原産地では季節に合わせて姿を消す植物ですが、栽培下では普通の水道水でも一年を通してよく育つ、意外に付き合いやすい種だと報告されています。
いまの正式な学名: Cryptocoryne sivadasanii Bogner (2004) — POWO / WCVP で ACCEPTED (正式に認められた学名)。異名の登録はありません
| 年 | できごと | 文献 |
|---|---|---|
| 1981 | カリカット大学の M. Sivadasan 氏がケララ州で生きた株を採集 (この時点ではまだ名前がない) | The Crypts pages (J.D. Bastmeijer) |
| 2004-02-02 | Sivadasan & Kiran Raj がマラップラム県ヴァッラムトドゥの川床でタイプ標本 CU 21595 を採集 (holotype CAL / isotype K・M・MH) | IPNI (原記載の標本情報) |
| 2004-08-25 | ★ Josef Bogner が Cryptocoryne sivadasanii として新種記載 | Willdenowia 34(1): 195 (–201, 図あり) / IPNI |
| 記載後 | 根がちぎれると新しい子株ができるという、属では珍しい繁殖のしかたが知られる。栽培も可能と分かる | The Crypts pages (J.D. Bastmeijer) |
| 2026 現在 | POWO / WCVP で ACCEPTED。異名の登録なし。分布はインドのケララ州とカルナータカ州 | WCVP (Kew) / IPNI 2026-08-04 確認 |
2026 年現在、Cryptocoryne sivadasanii Bogner は POWO / WCVP で正式に認められた学名 (ACCEPTED) です。異名は 1 つも登録されておらず、2004 年の記載からまったく揺らいでいません。生きた株が知られてから記載まで 23 年かかった種で、インド産クリプトコリネの中でも新しい部類に入ります。分布はインド南西部のケララ州とカルナータカ州です。
※ 出典: IPNI(国際植物名索引、原記載の標本情報を含む)/ WCVP・POWO(キュー王立植物園、2026-08-04 確認)/ The Crypts pages(J.D. バスメイヤー氏 運営、cryptocoryneworld.org の C. sivadasanii の項)/ Willdenowia 34(1): 195–201 (2004, J. Bogner)。