クリプトコリネ エリプチカは本文準備中
クリプトコリネ エリプチカは、1893 年 9 月にイギリスの植物学者 N.E. Brown(ブラウン)が記載した水草です。発表の場は J.D. Hooker(フッカー)が編んだ『Flora of British India(英領インド植物誌)』の第 6 巻 495 頁で、基準となった標本の産地はマレー半島のペラ州(ラルート)でした。書物によっては 1882 年と書かれていることがありますが、IPNI(アイピーエヌアイ=国際植物名索引。学名の発表を記録している公式データベース)が採っている正式な発表年は 1893 年です。学名そのものは記載から今日まで一度も変わっていません。
分布はマレー半島の北部だけという、たいへん狭い固有種(こゆうしゅ=その地域にしかいない種)です。ペラ州のポンドック タンジョン森林保護区の湿地に、同じクリプトコリネの Cryptocoryne minima と混じって生えています。一時は学界から見失われていましたが、1985 年に Jacobsen(ヤコブセン)と Bogner(ボグナー)が自生地で再確認しました。その後も生育地の開発が進み、数を減らしていることが繰り返し報告されています。2022 年には葉緑体ゲノム(ようりょくたいゲノム=光合成を担う細胞の小器官がもつ DNA 一式)の全長 159,968 塩基対(えんきつい=DNA の長さの単位)が解読されて Data in Brief 42 巻 108075 に公表され、そこでも「分布はマレー半島北部に限られ、生息地の破壊で減少している」と明記されています。
姿は、肉厚で明るい緑の葉をつけ、葉の裏は褐色を帯びます。仏炎苞(ぶつえんほう=花を包む苞)は湾曲し、舷部(げんぶ=開いた面)が折れ曲がるのが特徴です。栽培は難しい部類に入りますが、葉から新しい芽を出すという、クリプトコリネのなかでは珍しい性質をもっています。染色体数(せんしょくたいすう=細胞の中の染色体の本数)については公表された数値を確認できませんでしたので、ここでは「不明」としておきます。
いまの正式な学名: Cryptocoryne elliptica N.E.Br. (1893) — 記載以来ずっと独立種。POWO / WCVP でも ACCEPTED (有効な学名) です
| 年 | できごと | 文献 |
|---|---|---|
| 1893-09 | N.E. ブラウンが Cryptocoryne elliptica を記載 (J.D. フッカー編『英領インド植物誌』内)。基準産地はマレー半島ペラ州 | Fl. Brit. India 6(19): 495 (IPNI 86687-1) |
| 1985 | ヤコブセンとボグナーが自生地 (ポンドック タンジョン森林保護区) で再確認 | The Crypts pages (J.D. バスメイヤー) |
| 2022 | 葉緑体ゲノム全長 159,968 塩基対を解読・公表。分布はマレー半島北部に限られ生息地破壊で減少と記載 | Data in Brief 42: 108075 |
| 現在まで | 染色体数の公表値を確認できず | 不明 |
| 2026 現在 | POWO / WCVP で Cryptocoryne elliptica N.E.Br. が ACCEPTED。分布はマレー半島 | WCVP (Kew) 2026-08-04 参照 |
2026 年現在、Cryptocoryne elliptica N.E.Br. はそのまま正式な学名です。1893 年の記載以来、階級も所属も動いていません。ただし分布がマレー半島北部のごく狭い範囲に限られ、生育地の開発で数を減らしていることが、2022 年の遺伝子研究でも改めて指摘されています。染色体数は公表値を確認できず、不明のままです。
※ 出典: IPNI(国際植物名索引、レコード 86687-1)/ WCVP・POWO(キュー王立植物園、2026-08-04 参照)/ The Crypts pages(J.D. バスメイヤー氏 運営)/ Fl. Brit. India 6(19): 495 (1893) / Data in Brief 42: 108075 (2022)。