クリプトコリネ デウィティは
クリプトコリネ デウィティは、1977 年にデンマークの植物学者 N. Jacobsen(ヤコブセン)が記載した水草です。発表は Botaniska Notiser(ボタニスカ ノーティセル)130 巻 4 号 381 頁。名前は、20 世紀半ばにクリプトコリネ研究をまとめ上げたオランダの植物学者 H.C.D. de Wit(デ・ウィット)教授への献名(けんめい=功績をたたえて名前を贈ること)です。ゾナータやディデリキのように所属が動いた種とは対照的に、デウィティは記載から今日まで一度も階級や所属が変わっていません。異名(いめい=同じ植物につけられた別名)も登録されていません。
この種がクリプトコリネのなかで際立っているのは、産地がニューギニア島(パプアニューギニア)だという点です。クリプトコリネの大半はボルネオ島・マレー半島・スマトラ島・スリランカ・インドシナ半島に分布し、ニューギニアまで届いている仲間は本種のほかに Cryptocoryne versteegii と Cryptocoryne ciliata の 2 種しか知られていません。生育地はサゴヤシの林の下にある湿地で、落ち葉が厚く積もり、その下は泥炭(でいたん=植物が分解しきらずに積もった層)になっています。
姿は、緑色でブラート(葉の面が凸凹に盛り上がる状態)になる葉をつけ、葉の基部が耳のように張り出し、大きさは 9 × 5 cm ほど、縁は細かく波打ちます。仏炎苞(ぶつえんほう=花を包む苞)の舷部(げんぶ=開いた面)はねじれて反り返り、表面にざらついた突起が出ます。最初の標本は 1971 年にキウンガの飛行場付近で Katik 氏が採集したもので、その後長く消息が途絶え、2005 年ごろに Takashige Idei 氏が現地で再発見しました。染色体数(せんしょくたいすう=細胞の中の染色体の本数。クリプトコリネでは種の見分けや交雑の判定に使われます)については、公表された数値を確認できませんでしたので、ここでは「不明」としておきます。
いまの正式な学名: Cryptocoryne dewitii N.Jacobsen (1977) — 記載されてから一度も動いていない独立種。POWO / WCVP でも ACCEPTED (アクセプテッド=有効な学名) です
| 年 | できごと | 文献 |
|---|---|---|
| 1971 | パプアニューギニア キウンガの飛行場付近で Katik 氏が採集 (最初の記録) | The Crypts pages (J.D. バスメイヤー) |
| 1977 | N. ヤコブセンが Cryptocoryne dewitii を独立種として記載。H.C.D. デ・ウィット教授への献名 | Bot. Not. 130(4): 381 (IPNI 86682-1) |
| 2005 年ごろ | Takashige Idei 氏が現地で再発見。最初の採集から 30 年以上ぶりの確認 | The Crypts pages (J.D. バスメイヤー) |
| 現在まで | 染色体数の公表値を確認できず | 不明 |
| 2026 現在 | POWO / WCVP で Cryptocoryne dewitii N.Jacobsen が ACCEPTED。異名の登録はなく、分布はパプアニューギニア | WCVP (Kew) 2026-08-04 参照 |
2026 年現在、Cryptocoryne dewitii N.Jacobsen はそのまま正式な学名です。POWO / WCVP でも ACCEPTED (有効) として扱われ、異名は 1 つも登録されていません。1977 年の記載以来、階級も所属も動いていない、クリプトコリネのなかでは珍しく落ち着いた名前です。染色体数だけは公表値を確認できず、不明のままです。
※ 出典: IPNI(国際植物名索引、レコード 86682-1)/ WCVP・POWO(キュー王立植物園、2026-08-04 参照)/ The Crypts pages(J.D. バスメイヤー氏 運営)/ Bot. Not. 130(4): 381 (1977)。