クリプトコリネ コルダータはタイ南部が自生地として知られています。仏炎苞の苞は水面よりでて、葉身より長く10~45㎝位。この特徴はコルダータの典型的な特徴で先はロート状の仏炎苞に包まれた肉穂花序で開いた苞は鮮やかな黄色であるが一定しない。 コルダータは地域変種が知られており当分の間、分類の整理が進められている最中。
クリプトコリネ コルダータは、1851 年にイギリスの植物学者 W. グリフィス(Griffith)が『Notulae ad Plantas Asiaticas』第 3 巻 138 ページで記載した、属のなかでも古くから知られた種です。手のひらほどの大きな心形(しんけい=ハート形)の葉を広げ、葉裏は淡緑色から赤みを帯び、赤い葉脈が出ることもあります。自生地はマレー半島(ジョホール州・パハン州)から半島タイ最南部(ナラティワート県)にかけて。ジャングルの小川、緩やかな水路、サゴヤシの木陰の泥底、酸性の泥炭湿地(でいたんしっち=ピートスワンプ)と、生える環境の幅が広い種です。
近縁種との見分け方は、開いた仏炎苞の色と産地が手がかりになります。本種は襟(えり=舷部と喉の境の張り出し)がはっきりせず、開いた部分は安定して鮮やかな黄色。ボルネオのグラボウスキーは黄色・赤・濃紫と色幅が大きく、タイ西岸のシアメンシスは葉が卵形で花筒が短いという違いがあります。当店が 2002 年にパハン州スンガイチニ、およびタイ・スンガイコロクで撮影した個体は、いずれも現在の分類でも正真正銘のコルダータにあたります。
いまの正式な学名: Cryptocoryne cordata Griff. (1851) — 2023 年に独立種として復権
| 年 | できごと | 文献 |
|---|---|---|
| 1851 | Griffith が独立種として原記載 | Not. Pl. Asiat. 3: 138 (図版 Icon. Pl. Asiat. 3, t. 170, 172) |
| 1898 | Engler がボルネオ産を C. grabowskii として別種記載 | Bot. Jahrb. Syst. 25(1-2): 28 |
| 1905 | Ridley がボルネオ産を C. grandis として記載 | J. Straits Branch Roy. Asiat. Soc. 44: 170 |
| 1941 | Gagnepain がタイ産を C. siamensis として記載 | Notul. Syst. (Paris) 9: 132 |
| 1970 | de Wit が C. zonata を記載 | Meded. Bot. Tuinen Belmonte Arbor. Wageningen 13: 280 |
| 2002 | Jacobsen が複合体を C. cordata 1 種に統合。grabowskii・zonata・diderici をすべて変種へ降格 | Aqua Planta 27(4): 151 |
| 2010 | Jacobsen & Sookchaloem が var. siamensis を追加 | Thai Forest Bull., Bot. 38: 180 |
| 2017 | var. zonata と C. grandis を var. grabowskii に吸収する扱いが明文化 | Willdenowia 47(3) |
| 2019 | Wongso がスマトラ産 var. wellyi を記載 | Taiwania 64(3): 331 |
| 2023 | ★ 染色体数を根拠に種へ再昇格。C. cordata (2n=34) / C. grabowskii (2n=68) / C. siamensis (2n=102) の 3 種に分割 | Aroideana 46(3) |
| 2026 現在 | POWO・GBIF などの世界的データベースは、まだ 2002 年の 1 種多変種の扱いのまま (論文が先行し、データベースが追いついていない) | POWO / GBIF backbone |
2023 年の再昇格により、いまこの名が指すのは二倍体(にばいたい=染色体を 2 組もつ状態、2n=34)のマレー半島とタイ最南部の個体群のみです。下位に基準変種 var. cordata とスマトラ産 var. wellyi Wongso (2019) を置きます。ボルネオ産はグラボウスキー、タイ西岸産はシアメンシスとして切り離されました。当ページの旧記述「分類の整理が進められている最中」は 2002 年当時のもので、2023 年に決着しています。
※ 出典: IPNI(国際植物名索引)/ The Crypts pages(J.D. バスメイヤー氏 運営)/ Willdenowia 47(3) (2017) / Aroideana 46(3) (2023) / GBIF。