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クリプトコリネ コグナタ Cryptocoryne cognata

クリプトコリネ コグナタはインド西部マハーラーシュトラ州ラトナギリ付近での分布が知られている。

クリプトコリネ コグナタは、1857 年にオーストリアの植物学者 Schott(ショット)が、ドイツの植物学誌に寄せた「クリプトコリネ小論」のなかで記載した種です。産地はインド西部。ところが記載後の消息がきわめて乏しく、標本がわずかに残るだけで約 150 年ものあいだ現地での記録が途絶えていました。ふたたび見つかったのは 1990 年前後で、インド マハーラーシュトラ州ラトナギリ周辺で確認されています(1989〜1992 年とする報告もあります)。当店ページで「マハーラーシュトラ州ラトナギリ付近での分布が知られている」と記してきたのは、この再発見にもとづく情報です。

名前について、ひとつ紛らわしい話があります。1931 年に Blatter & McCann(ブラッター&マッキャン)が記載した Cryptocoryne cognatoides は、綴りがよく似ていますがコグナタとは別の植物です。こちらは 1993 年に Cryptocoryne spiralis var. cognatoides として、まったく別の種の変種に移されました。コグナタ本体は 1857 年の記載以来、変種に落とされることも他種に統合されることもなく、独立した種のまま今日にいたっています。

姿の特徴は花にあります。仏炎苞(ぶつえんほう=花を包む苞)のケトル(下部のふくらんだ部屋。虫を一時的にとどめる場所)が最大 5 cm と非常に長く、舷部(げんぶ=仏炎苞の開いた面)はねじれ、喉元は黄色で紫色の斑点が入ります。栽培下では仏炎苞の全長が 20 cm ほどに達することもあります。地際では収縮根(しゅうしゅくこん=縮んで株を地中に引き込む根)をもち、この点は同じインド産のスピラリスと共通します。ランナー(走出枝=横に伸びて子株をつくる茎)を出さないため、殖え方はゆっくりです。自生地は日陰の浅い流れで、砂や砂利にしっかり根を張っています。

分布は、インド西海岸のコンカン地方(マハーラーシュトラ州・ゴア州・カルナータカ州にまたがる沿岸地帯)とされますが、確実に確認されている産地はラトナギリとシンドゥドゥルグの 2 か所ほどにとどまり、実際の生育面積は 100 km² を下回ると見積もられています。2011 年の評価で IUCN(アイユーシーエヌ=国際自然保護連合)のレッドリストに絶滅危惧(Endangered)として掲載され、2015 年には分布と生態の追加報告とともに、レッドリストの再評価が必要だとする指摘が出されました。工業開発・発電所・採掘・観光が、生育地を狭める要因として挙げられています。

📜 分類の歩み — この名前はいつ、どう変わったか

いまの正式な学名: Cryptocoryne cognata Schott (1857) — ACCEPTED、異名の登録はありません。名前のよく似た Cryptocoryne cognatoides は別種で、現在は Cryptocoryne spiralis の変種として扱われています

できごと文献
1857Schott が Cryptocoryne cognata を記載 (インド西部産)Bonplandia 5: 222 (論文 Cryptocorynenskizze, 219–223)
1931Blatter & McCann が名前のよく似た C. cognatoides を記載 (本種とは別種)J. Bombay Nat. Hist. Soc. 35: 17
1989〜1992約 150 年ぶりに、マハーラーシュトラ州ラトナギリ周辺で再発見される (1990 年とする報告もある)The Crypts pages / J. Threat. Taxa 7(15): 8302–8304 (2015)
1993C. cognatoidesC. spiralis var. cognatoides へ移され、本種とは無関係と整理されるAqua Planta 1993(2): 65
2011IUCN レッドリストで絶滅危惧 (Endangered) と評価されるIUCN Red List (2011 年評価)
2015分布・生態の追加報告。レッドリストの再評価が必要と指摘されるJ. Threat. Taxa 7(15): 8302–8304
2026 現在POWO / WCVP で ACCEPTED。異名の登録なしWCVP (Kew) 2026-08-04 確認

2026 年現在、Cryptocoryne cognata Schott は正式な学名として認められており、異名はひとつも登録されていません。1857 年の記載から分類上はまったく動いていない種です。動いたのは名前の似た C. cognatoides のほうで、こちらは 1993 年に C. spiralis の変種へと整理されました。学名は安定していますが、自生地のほうは絶滅危惧に位置づけられており、インド西海岸のごく狭い範囲にしか残っていません。

※ 出典: IPNI(国際植物名索引)/ WCVP・POWO(キュー王立植物園)/ The Crypts pages(J.D. バスメイヤー氏 運営)/ Bonplandia 5 (1857) / Journal of Threatened Taxa 7(15) (2015) / IUCN レッドリスト。

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