クリプトコリネ ヒュードロイは
Cryptocoryne hudoroi クリプトコリネ ヒュードロイクリプトコリネ ヒュードロイは、1985 年に Bogner(ボグナー)と N. Jacobsen(ヤコブセン)が新種として記載した、ボルネオ島南部のクリプトコリネです。きっかけは 1980 年代、ボルネオから届いた 2 つの株が、当時きわめて珍しかった C. bullosa(ブローサ)にそっくりだったことでした。ところが染色体(せんしょくたい=細胞の中にある遺伝情報の束)を数えてみると数が合わず、2 つとも別の新種だと分かります。それがサラワク産の C. keei(キー)と、この南カリマンタン産の C. hudoroi でした。種名の hudoroi は、本種を採集した Hudoro(ハドロ)氏にちなむもので、The Crypts pages に載る最初期の標本写真にも「coll. Hudoro」と採集者名が記されています。
決め手になった染色体数は 2n = 20。これはそれまで C. striolata でしか知られていなかった数で、見た目がよく似ていても中身は別物だとはっきり示す証拠になりました。分布はインドネシア領ボルネオ、バンジャルマシン北方のごく限られた場所だけが知られています。記載後も Bogner が 1989 年・1990 年と続けてドイツの専門誌 Aqua-Planta に詳しい報告を寄せており、当時いかに注目された新種だったかがうかがえます。
姿は、葉身が 25 cm ほどにもなる背の高い株立ちで、仏炎苞(ぶつえんほう=花を包む苞)は先端の尾がとても長く、ねじれながら伸びます。筒の部分も同じようによじれるのが本種らしいところです。The Crypts pages では、水槽でもよく育つ扱いやすい種として紹介されています。
当店のページには、2002 年 2 月入荷のボルネオ南部産、2003 年 6 月のカンダガン産、同年 12 月に初入荷したメハキット産、2004 年 9 月のカリマンタン産ブラウンタイプといった現地株が並び、あわせて東南アジアのファーム株も掲載しています。産地違いを並べて見比べられるのは、ワイルド(現地採集)株を追いかけてきた積み重ねがあってこそです。
いまの正式な学名: Cryptocoryne hudoroi Bogner & N.Jacobsen (1985) — POWO / WCVP で ACCEPTED (正式に認められた学名)。異名の登録はありません
| 年 | できごと | 文献 |
|---|---|---|
| 1980 年代 | ボルネオから届いた 2 株が希少種 C. bullosa によく似ていたため調査対象になる | The Crypts pages (J.D. Bastmeijer) |
| 1982 | Arends・Bastmeijer・Jacobsen がクリプトコリネ 38 種の染色体数を報告。以後、染色体数が種の見分けに使われるようになる | Nordic J. Bot. 2: 453–463 |
| 1985 | Bogner と N. Jacobsen が Cryptocoryne hudoroi を新種として記載 (染色体数 2n=20) | Nordic J. Bot. 5(1): 37 |
| 1985 | Jacobsen のボルネオ産クリプトコリネ整理に独立種として収録 | Nordic J. Bot. 5(1): 31–50 |
| 1989 | Bogner が本種の詳細報告を発表 | Aqua-Planta 1-89: 12–16 |
| 1990 | Bogner が追加の知見を発表 | Aqua-Planta 1-90: 10–13 |
| 2026 現在 | POWO / WCVP で C. hudoroi Bogner & N.Jacobsen が ACCEPTED。異名の登録なし | WCVP (Kew) 2026-08-04 確認 |
2026 年現在、Cryptocoryne hudoroi Bogner & N.Jacobsen は POWO / WCVP で正式に認められた学名 (ACCEPTED) です。異名は 1 つも登録されておらず、1985 年の記載から今日まで名前も扱いも変わっていません。分布はボルネオ島 (南カリマンタン) です。
※ 出典: IPNI(国際植物名索引)/ WCVP・POWO(キュー王立植物園、2026-08-04 確認)/ The Crypts pages(J.D. バスメイヤー氏 運営)/ Nordic Journal of Botany 2 (1982)・5(1) (1985) / Aqua-Planta 1-89・1-90 (Bogner)。