コロナタはフィリピンを分布域にもつ長葉凸凹系のクリプトコリネである。
クリプトコリネ コロナタは、当店ページでもご紹介しているとおり、フィリピンに分布する長葉・凸凹系のクリプトコリネです。学名としての歴史は意外に新しく、はっきりしています。1998 年、フィリピンからの輸入株の中に見慣れない個体が混じっているのが見つかり、当初は同じフィリピン産で葉の似ているクリプトコリネ ウステリアナ(Cryptocoryne usteriana)だろうと考えられていました。ところが花が咲いてみると別物で、翌 1999 年に Bastmeijer(バスメイヤー)と van Wijngaarden(ファン ウィンハールデン)が新種として記載したのがこの種です。
決め手になったのは仏炎苞(ぶつえんほう=花を包む筒状の苞)でした。喉元のまわりに白い突起がぐるりと並び、その様子が王冠のように見えます。学名の coronata(コロナタ)は、ラテン語で「冠をいただいた」という意味です。葉だけを見ればウステリアナやアポノゲティフォリア(C. aponogetifolia)と同じく、細長くて表面が強く凸凹(bullate(ブラート、葉面が泡立つように盛り上がった状態))になる大型のグループですが、花を見れば一目で区別がつく、というわけです。当店のページに掲載している花の写真は、まさにこの見分けどころにあたります。
分布はフィリピンのミンダナオ島、その最西部にあたるサンボアンガ周辺で採集されたと報告されています。フィリピン産の大型クリプトコリネはウステリアナ・アポノゲティフォリア・コロナタと近い顔ぶれが揃うため、葉だけの状態では取り違えが起こりやすい仲間です。記載から四半世紀ほど経った今も、コロナタは独立した種として扱われ続けており、異名(いめい=同じ植物につけられた別名)は 1 つもありません。
Cryptocoryne coronata クリプトコリネ コロナタ
いまの正式な学名: Cryptocoryne coronata Bastm. & Wijng. (1999) — 現在も独立種として有効。異名なし
| 年 | できごと | 文献 |
|---|---|---|
| 1998 | フィリピンからの輸入株の中に見慣れない個体が見つかる。当初は C. usteriana と思われていた | The Crypts pages (J.D. バスメイヤー) |
| 1999 | ★ Bastmeijer & van Wijngaarden が新種 Cryptocoryne coronata として記載 (ミンダナオ島サンボアンガ付近産) | Aqua Planta 24(1): 23–28 |
| 2026 現在 | POWO / WCVP で Cryptocoryne coronata Bastm. & Wijng. が ACCEPTED。異名は登録なし | WCVP (Kew) 2026-06-04 版 |
2026 年現在、Cryptocoryne coronata Bastm. & Wijng. は独立した種として正式に認められており(ACCEPTED)、異名は 1 つもありません。1999 年の記載以来、扱いが変わっていない安定した学名です。葉の姿はウステリアナやアポノゲティフォリアとよく似ますが、喉元に白い突起が王冠のように並ぶ花が、この種だけの目印です。
※ 出典: IPNI(国際植物名索引、60431801-2)/ WCVP・POWO(キュー王立植物園)2026-06-04 版 / The Crypts pages(J.D. バスメイヤー氏 運営)/ Bastmeijer, J.D. & P. van Wijngaarden (1999) Cryptocoryne coronata spec. nov. (Araceae). Aqua Planta 24(1): 23–28。